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再生医療の力

再生医療等製品

再生医療等製品は、ご自身の細胞(または他人の細胞)をお薬として使用することにより、身体の構造・機能の再建・修復や、疾病の治療・予防をするものです。
最近では、脊髄損傷の治療法として、再生医療等製品の使用が可能となりました。

01脊髄損傷とは?

脊髄損傷は、脊髄に損傷が生じることによって、身体の一部の機能が失われる状態です。脊髄は、脳からの信号を身体の各部位に伝える神経の通り道になっており、脊髄損傷によって、その通り道が断たれたり、神経の損傷が生じたりすることがあります。

脊髄損傷の症状は、損傷が生じた場所や程度によって異なりますが、多くの場合、手足の動きや感覚が失われたり、排泄機能や性機能に問題が生じたりすることがあります。また、呼吸にも影響を及ぼすことがあります。

脊髄損傷の発生原因は?

交通事故やスポーツなどの外傷、転倒などが原因となることがあります。治療方法は、損傷の程度や場所によって異なりますが、手術やリハビリテーションなどの方法があります。

交通事故:
自動車、バイク、自転車、歩行者などの交通事故
スポーツ外傷:
アメリカンフットボール、ラグビー、スキー、スノーボード、ダイビング、馬術、レスリング、柔道などのスポーツでの外傷
転倒:
高齢者の転倒、高所からの落下、作業中の転倒など

脊髄損傷の種類

脊髄損傷は、損傷の程度によって一般的に以下のとおり分類されます。損傷の場所や深さによって、麻痺の範囲や程度が異なることがあります。

完全損傷:
脊髄の断裂や破壊が生じ、感覚や運動の機能が完全に失われた状態
不完全損傷:
脊髄の損傷が一部であり、感覚や運動の機能の一部が残っている状態

影響を受ける機能

脊髄損傷によって、身体の感覚や運動機能、感覚機能、呼吸機能、排泄機能、性機能などが影響を受ける可能性があります。

【診断】
  • 症状や身体所見に基づく診断
  • 画像検査:X線、CT、MRIなど
  • 神経学的検査:意識レベル、瞳孔の大きさ、対光反射、深部腱反射など

02脊髄損傷の治療方法は?

脊髄損傷の治療方法は、損傷の程度や場所、症状の種類によって異なります。治療の目的は、損傷の進行を防ぎ、身体機能の回復を促進させることです。

1. 手術療法

脊髄損傷の手術の目的は、脊髄に対する圧迫を取り除いたり、脱臼している脊椎を元の位置に戻したり固定したりすることです。 脊髄の圧迫を緩和するための手術には頚椎椎弓形成術、頚椎前方除圧固定術などがあります。適切な手術により、損傷部位周囲の圧迫を軽減させて損傷部位の修復を促し、神経機能の回復や生活の質の向上を目指します。

2. リハビリテーション

損傷した神経や筋肉の機能を回復させるためにリハビリテーションは非常に重要です。リハビリテーションには、運動療法や物理療法、言語療法、呼吸療法などがあります。

3. 薬物療法

脊髄損傷によって引き起こされる痛みや痙攣、筋肉の硬直などを軽減するために、薬物療法が行われることがあります。

しかしながら、脊髄損傷の治療には限界があり、完全な回復は難しい場合があります。患者さんは、専門医の指導の下で治療計画を決め、適切に進めていくことが重要です。

生活への影響

脊髄損傷は、患者さんの生活に大きな影響を与えることがあります。一般的には、以下のように生活に影響がでる可能性があります。

身体機能の喪失
脊髄損傷は、損傷の程度や場所に応じて、患者さんの身体機能に影響を与えることがあります。例えば、手足の動きや感覚が失われたり、排泄機能や性機能に問題が生じたりすることもあります。
他者への依存度の増大
身体機能の喪失によって、患者さんは、日常生活の中での活動や自己管理を行うことが困難になる場合があります。このため、介助が必要になることもあります。
精神的な負担
脊髄損傷は、患者さんにとって大きなストレスとなることがあります。自己価値観や自己決定能力が低下するなど、精神的な問題を抱えることもあります。
経済的な負担
脊髄損傷の治療やリハビリテーションには、大きな費用がかかることがあります。また、治療によって、患者さんの収入が減少する場合もあります。

脊髄損傷は、患者さんの身体的、精神的、社会的、そして経済的な側面に影響を与える場合があります。しかし、適切な治療とリハビリテーションを受けることで、自立した生活を送れるようになる可能性もあります。

03脊髄損傷治療のための
新しい治療方法について

近年、患者さん自身の間葉系幹細胞を用いて、脊髄損傷の影響で麻痺した身体の機能を改善させることを目的とした再生医療等製品が、一部で使用されています。
これを投与したからといって必ずしも受傷前の健常な状態にまで完全に回復するわけではありませんが、新たな治療の選択肢の1つとして注目されています。

再生医療とは?

再生医療とは、体内の細胞や組織を修復や再生することを目的とした治療法のことです。
この治療法により、患者さんから採取した細胞を増殖させたり、特定の細胞に分化させたりすることができます。そして、その細胞を患者さんに戻すことで、患者さんの回復を促すことができます。

再生医療は、従来の医療とは異なります。従来の医療は、病気や損傷した部分を取り除いたり、置換したりすることが多いですが、再生医療は、自分自身の細胞や組織を使用する治療です。

再生医療は、現在、様々な分野で研究が進められています。例えば、心臓病や関節痛、糖尿病、神経変性疾患などの治療に有効である可能性があります。なお、再生医療を受けるには、自分自身の細胞や組織が必要となるため、事前に採取する必要があります。

再生医療等製品とは?

細胞に培養等の加工を施し、身体の構造・機能の再建・修復や、疾病の治療・予防をするものです。最近では、脊髄損傷においても、再生医療等製品が使用されるようになってきています。

間葉系幹細胞とは?

間葉系幹細胞とは、体内の骨細胞・軟骨細胞、脂肪細胞、神経細胞、幹細胞などさまざまな組織や臓器を形成する細胞の祖先となるものです。
間葉系幹細胞は、自己再生能力を持つため、病気や怪我によって損傷した組織の修復や再生に関与しています。