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2021年6月号

サルコペニアや運動機能低下に関係「筋内脂肪」に注意

高齢社会が到来している日本にとって今、国の骨太の方針にも盛り込まれて来たことからも明らかなように、「健康寿命の延伸」は非常に関心の高いものなのではないでしょうか。そのような中、名古屋大学と早稲田大学の共同研究グループが発表した研究成果が大きな注目を集めました。それは「筋内脂肪」と呼ばれるものが、高齢者の健康低下に大きく関係しているということ。そして、ウォーキングと筋力トレーニングを合わせて行う事が「筋内脂肪」の減少に効果的であるという研究成果でした。今回のすこやかネットは、この研究成果の内容を基に「筋内脂肪」について紹介します。

高齢者によく見られる筋内脂肪 筋肉内に霜降り状に蓄積する脂肪を指す

「筋内脂肪」とは、高齢者においてみられる筋肉内に霜降り状に蓄積している脂肪のこと。この脂肪は、健康に対し非常に大きな影響を与えるもので、主に次のようなことが明らかにされています。

  • 加齢、肥満、運動不足によって増加する
  • インスリン抵抗性を引き起こし、糖尿病になる可能性が高くなる
  • 運動機能にマイナスの影響を及ぼす
  • サルコペニア(筋力あるいは筋肉量の減少)の発症に関係する
  • 高齢男性では加齢が筋肉の霜降り化を助長している可能性がある

皮下脂肪と内臓脂肪に加え「第3の脂肪」と称されているのが異所性脂肪。これは本来、脂肪が蓄積されないはずの膵臓や肝臓に加え、今回紹介している筋肉などにたまる脂肪のことです。
「本来は蓄積されないところに突然たまる」わけではなく、皮下脂肪や内臓脂肪に入りきらなくなった分があふれ出すということであり、つまりは筋内脂肪などが存在するということは、それだけで健康に黄色信号が灯っている状態であると言えるでしょう。

名古屋大学等の合同研究グループは研究成果発表の中で「研究の結果は、高齢者に見られる筋肉の霜降り化による質的変化がサルコペニアに関係することを示唆しており、高齢者の健康の維持・増進や有効な運動処方の確立に役立つことが期待される」とまとめています。

自宅で行える簡単な運動でも効果あり

ウォーキングだけでも効果は得られるが、自重負荷レジスタンストレーニングが効果を促進

これまで、筋内脂肪を減少させるためにはトレーニングマシーンなどを活用した高負荷での筋力トレーニングが効果的だとされていたのですが、名古屋大学等の共同研究グループはウォーキングなど手軽にできる運動を行うことでも筋内脂肪を減らせることを明らかにしました。
また、ウォーキングに加えて自分自身の体重を負荷として行う「自重負荷レジスタンストレーニング」を行うことで効果が促進される、としています。

椅子座り立ち、太もも上げ、つま先立ち、脚の横上げ、腹筋運動を推奨

研究で行ったのはウォーキングを週2~3回、1回当たり30~60分で平均歩数は1万歩を目標。自重負荷レジスタンストレーニングは、椅子座り立ち、太もも上げ、つま先立ち、脚の横上げ、腹筋運動の5種類。同トレーニングについては健康・体力づくり事業財団の「貯筋運動」を参考にしています。


皮下脂肪、筋肉量に変化は見られなかったが、筋内脂肪は有意に低下

研究結果によると、上記の運動を10週間続けたところ、皮下脂肪や筋肉量には大きな変化が見られなかったものの、筋内脂肪についてはウォーキングだけでも減っており、自重負荷レジスタンストレーニングをプラスすることでより顕著に低下したことを報告しています。
「人は脚から衰える」という言葉がありますが、上記のトレーニングを意識して行うことは、筋内脂肪の減少に止まらず、健康寿命の延伸にもつながるのではないでしょうか。

2021年6月号

情報提供:(株)家庭薬新聞社TEL076-442-3815(代)

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