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鉄と鉄欠乏性貧血

血液中の赤血球の中には、体内の各組織に酸素を供給するという大切な役割を担っている物質が存在します。それがヘモグロビンと呼ばれるもので、これは、ミネラルの1つである鉄によってつくられているのです。この鉄が、体の中で足りなくなると、いわゆる鉄欠乏性貧血と呼ばれる病気にかかってしまうのですが、この病気は、数ある貧血の種類のうち、9割以上を占めるとされ、特に若い女性の間では4人に1人が、この病気になっているとさえいわれています。そうした現状を踏まえ、今回は私たちが生きていく上で欠かせない栄養素・鉄の働きと、その不足によって起こる鉄欠乏性貧血の発症のメカニズムなどにスポットを当ててみたいと思います。

貧血がひどくなると爪がスプーン状に

鉄欠乏性貧血になると現れる症状:頭痛、体がいつもだるい、めまい、耳鳴り、寒さを感じやすい、爪が平らになったり反り返ったりする、食欲低下、息切れ、動悸、疲れやすい

鉄欠乏性貧血はゆっくり進行する場合もあるので、最初のうちは自覚症状が見られないこともあります。しかし、だんだん貧血の度合いが進んでいくと、皮膚の色が青白くなったり、口の中や下まぶたの裏側の粘膜が白っぽくなってきます。また、体がいつもだるかったり、ちよっと歩いただけでもすぐに疲れてしまう、あるいは寒さを感じやすくなったり、根気がつづかなくなったりすることもあります。
さらに頭痛、めまい、息切れ、動悸、耳鳴り、下肢のむくみ、食欲低下などが現われるほか、もっと貧血がひどくなると、爪が平らになったり、スプーンのように反り返ったりもしてきます。
息切れや動悸などは、鉄欠乏性貧血以外の貧血にも現われる症状ですが、これは、ヘモグロビンの量が減少したことによって、体内の臓器に酸素不足が生じたために起こるもの。また、皮膚や粘膜の色が青白くなるのは、ヘモグロビンの量が減ったことで、血液の色である赤色が薄くなったからです。
しかし、これらの症状が現われたからといって即、貧血だと判断することはできません。なぜなら、こうした症状は貧血特有のものではないからです。例えば、動悸やめまいは高血圧などによっても起こりますし極度の緊張状態にある場合には、貧血でなくても皮膚や粘膜の色は青白くなるものです。
したがって、貧血かどうかを判断するには、自覚症状のみではなく、血液検査を行うことが必要なのです。

ヘモグロビンの量が著しく減少

貧血かどうかは血液検査によってわかります。

では、どのような検査をするのかというと、鉄欠乏性貧血かどうかを診断する場合、まず血液の1mm3当たりの赤血球の数、100cc当たりのヘモグロビンの量、血液全体に占める赤血球の容積を調べます。
ちなみに、健康な人では、赤血球数の正常値が男性で1mm3当たり450万〜550万、女性では400万〜450万。またヘモグロビンの量は、男性で100cc当たり13〜17g、女性では12〜16gが正常値とされており、この数値を下回ると貧血ということになります。
ただし、それだけで鉄欠乏性貧血と断定するわけではありません。確かに、貧血になると血液中の赤血球やヘモグロビンの量が通常の値よりも下回るのですが、鉄欠乏性貧血には、赤血球に比べてヘモグロビンの方がより多く減少するという特徴があり、これを低色素性と呼んでいます。加えて、ヘモグロビンの量が不足することにより、赤血球の容積が小さくなっているのも特徴です。
そこで、低色素性の有無、赤血球の大きさ、さらに体内での鉄の状態を調べるとともに、貧血の原因を確認した上で、鉄欠乏性貧血かどうかの診断が下されるのです。


鉄剤を服用するタイミングは“食間”

では、鉄欠乏性貧血と診断された場合は、どんな治療を受けるのでしようか。
基本は、食事によって鉄を摂取すること、いわば食事療法にありますが、何らかの理由で、どうしても充分にできなかったり、あるいは貧血の症状が重い時には、鉄剤を用います。服用量は、1日に大体100〜200mgが一般的。また、鉄は食べ物の中のいろいろな物質によって吸収が阻害されるため、食間に鉄剤を服用した方が、最も吸収がよいとされています。
ただ、昔から比べて現在の鉄剤は吸収がよく、副作用も少ないといわれるものの、やはり時として胃腸障害を来たすことがあり、特に空腹時に服用すると、鉄剤が胃の粘膜に直接、障害を与えることも。そんな場合は服用量を1日50mgに減らしたり、食後に服用したりするのがよいでしよう。
こうして鉄剤を服用し始めると、2〜3ヵ月ぐらいで大抵は貧血の症状は治まります。しかし、だからといって、すぐに服用を止めてはいけません。この 段階では、まだ貯蔵鉄の量が充分ではなく、再発する可能性が高いからです。したがって、自分で勝手に治ったと判断せず、定期的に血液検査を受け、医師の指示の下に治療をつづけていくことが大切なのです。

鉄剤とお茶

かつて、鉄剤と緑茶(お茶)を一緒に飲むのはもちろんのこと、鉄剤服用の30分から1時間前後は緑茶を飲むべきではないといわれていました。これは、緑茶に含まれるタンニン酸と鉄とが結合して水に溶けにくい物質が生じ、鉄がうまく吸収されなくなると考えられていたからです。
しかし、現在ではそのような問題はないといわれています。確かに、タンニン酸は鉄の吸収に影響を及ぼしますが、鉄剤に含まれる鉄の量は100mg。そのため、これだけ多くの鉄が含まれていれば、タンニン酸によって吸収が阻害される鉄の量はごくわずかで、あとの大部分はそのまま吸収されると考えられているのです。
現に、ある調査で、鉄欠乏性貧血にかかっている女性に、水もしくは緑茶と一緒に鉄剤を飲んでもらったところ、どちらも貧血が治った割合が9割以上で、重い副作用も起きなかったことが確認されています。
こうしたことからも、鉄剤とお茶を一緒に飲むことは問題がないといえます。

情報提供:(株)家庭薬新聞社

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