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いのちのためのテクノロジー

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キット製剤【ダブルバッグキット】

腎不全患者の“いのちのツール”

ワンプッシュによるスピーディーな薬剤の溶解を可能とする「ダブルバッグキット」。
医療現場で高い評価を受けている商品です。

注射針を装着した注射器を用いて溶解液を採り、薬剤の入ったバイアル(ガラス製の容器)に注入。薬剤を溶かした後、注射器で吸い上げ、点滴用の溶解液に注入する。―――「ダブルバッグキット」はこれらの作業を省き、薬剤の取り違えや調剤ミスを防ぐことを可能としました。
注射器を使わないので、安全に作業でき、溶解液・薬剤が外気に触れないので、院内感染などの防止にも有効です。

「ダブルバッグキット」は現在、主に日本などの先進諸国で使われていますが、今後は世界の医療現場へ広く普及することが期待されています。

<使用手順>

  1. 使用直前に外袋を開封します。
  2. 外袋から折りたたまれている状態のダブルバッグを取り出し、開きます。
  3. 薬剤バッグのアルミカバーを剥がします。
  4. 溶解液バッグを手で押して隔壁を開通させた後、薬剤バッグと溶解液バッグを交互に押して薬剤を完全に溶解させます。
  5. 溶解完了を確認します。
  6. 輸液セットを装着します。このとき、針を真っ直ぐ刺します。

薬剤の特性

静脈から薬液を注入する点滴治療。
通常は、抗生物質などの薬剤を、生理食塩液などの溶解液に溶かし、時間をかけて患者さまに投与されます。
多くの抗生物質には酸素に触れたり、水に溶けたりすると変化する性質があります。
そこで、使用する直前まで、ゴム栓と金属キャップで密閉された「バイアル」の中で保存しておかなければなりません。

手間がかかりリスクもある点滴液の調製

バイアルの中の抗生物質を溶解し、点滴液を調製するためには次の手順を踏む必要があります。

<従来の調製方法>

  1. 注射針を装着した注射器を用い、溶解液を少量吸い上げます。
  2. 吸い上げた溶解液を薬剤が入ったバイアルに注入します。
  3. 注射針を抜き取った後、バイアルを静かに振り、薬剤を溶かします。
  4. 薬剤が溶けたことを確認し、バイアルから溶解した薬剤を注射器で吸い上げます。
  5. バイアルから注射針を抜き取った後、溶解した薬剤を溶解液バッグに注入します。

酸素を通さないフィルムの開発

抗生物質は酸素に対してデリケートに反応します。
そのため、バイアル(薬剤)とプラスチックのバッグ(溶解液)を一体化したタイプの商品も開発しましたが、重くて持ち運びにかさばるなどの難点がありました。

薬剤も溶解液と同じバッグに入れたいところですが、プラスチック製などのバッグでは、微量ながら酸素を透過してしまいます。
酸素を透過しないバッグは作れないか―――膨大な種類のプラスチックフィルム、アルミフィルムから数々の試作品をつくり、性能テストを繰り返し行いました。その結果、酸素を通さない最適の組み合わせを見つけ出し、プラスチックフィルムとアルミフィルムを10層にわたって複層させたフィルムを開発することに成功しました。

バッグの溶着技術

溶解液を入れたバッグと薬剤を入れたバッグの接合には、フィルム同士を熱で溶かし、加圧・冷却して接着する「溶着」という手法が用いられます。

溶解液側はプラスチック4層のフィルム、薬剤側はプラスチックとアルミ複層の10層のフィルム。 これらを「手で押さえつければ『隔壁』が開通する」程度の強度で溶着する必要があります。 あまり頑丈に溶着すれば「隔壁」を開通させることができず、逆に、弱すぎれば持ち運びの際などに開通してしまうことになります。 また、溶解液が外部に漏れないように、一番外側のフィルム同士はしっかりと溶着しなければなりません。

このように「適度な強さ」でフィルム同士を溶着する技術も、ダブルバッグキットの製品化には必要でした。

隔壁構造の工夫

溶解液のバッグと薬剤のバッグを分けている「隔壁」の構造にも工夫が施されています。

ダブルバッグキットをテーブルの上などに伸ばして置き、溶解液のバッグを手のひらで押すと「隔壁」が容易に開通し、溶解液が薬剤のバッグに流れ込みます。

ところが開封する前の状態、つまり薬剤と溶解液のバッグが2つ折りになった状態では、約100kgの重量をかけたとしても「隔壁」が開通することはありません。
その秘密は、薬剤と溶解液のバッグを相互に溶着し、折りたたんだ特殊な構造にあります。

こうした折りたたみ構造をはじめ、ダブルバッグキットにはいくつもの工夫が取り入れられています。

世界の医療現場に「効率」と「安全」を届ける

ダブルバッグキットは、その効率性と安全性が評価され、1996年の発売開始以来、その普及率は年々高まりつつあります。

しかし、注射器を使って薬剤を溶解液に溶かす従来の方法よりも割高になるため、日本と比べ海外での普及率は低いのが現状です。

今後の課題は、より安い価格での提供が実現できるようになること、そしてさらなるキット化製品の開発です。
世界の医療現場に「効率」と「安全」を届けられるように、ダブルバッグキットの工夫と改善は続きます。

※医療用医療機器・医薬品は、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」により、
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